事業再構築補助金に申請をしたい!だけど自己資金がないから諦めている……という方が案外多いようです。
事業再構築補助金に限らず補助金の支払いは原則として後払いです。
事業再構築補助金にされたからといって、すぐに補助金が受け取れるわけではなく、先に補助事業を実施し、実績報告をした後に補助金が支払われます。
つまり、先に補助事業に必要な金額を確保しておかなければなりません。
たとえば3,000万円の補助額で申請を行う場合は、補助金を受け取る前に、自分で3,000万円以上を支払う必要があります。
その3,000万円を支払う自己資金があれば何の問題もないのですが、中小企業や小規模事業者の場合、自己資金が足りないという会社も少なくありません。
ではそういう場合は申請をあきらめなければいけないという訳ではなく、採択から補助金交付までの間一時的に融資を受ける「つなぎ融資」を活用するという方法もあります。
今回はその「つなぎ融資」についてくわしく解説していきます。
目次
事業再構築補助金とは?
改めて、事業再構築補助金とは、コロナ時代の今、変化する経済社会に対応するための事業再構築を支援してもらえる補助金です。
コロナウイルスの影響を受けた中小企業などが、事業再構築を試みるべく、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編などに挑戦する場合、その事業にかかった経費を補助してもらえます。
事業再構築とは、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換または事業再編の5つのことを指します。
事業再構築補助金に申請するためには、これら5つのいずれかに該当する事業計画を策定する必要があります。
・新分野展開とは……主たる業種や事業を変更せずに、新しい製品の製造や、新しい商品、サービスを提供することで、新たな市場に進出すること。
・業態転換とは……今まで行っていた商品やサービスそのものは変えずに、製品などの製造方法の変更や、商品やサービスの提供方法を変更すること。
・事業転換とは……新たな製品の製造や、新たな商品、サービスを提供することにより、主たる業種を変更せずに、主たる事業を変更すること。
・業種転換とは……新たな製品の製造、新たな商品、サービスを提供することにより、主たる業種を変更すること。
・事業再編とは……会社法上の組織再編行為などを行い、新たな事業形態のもとに、新分野展開、事業転換、業種転換または業態転換のいずれかを行うこと。
事業再構築補助金は資金面で実現可能かを重要視される!
事業再構築補助金では、その事業計画が「実現可能であるか」を重要視されるため、その中でも資金繰りに問題がないかどうかなどを厳しくチェックされます。
自己資金があるのか、融資を活用するのか、いずれにせよしっかりと資金繰りの計画も具体的に明記し、その計画が“資金面でも実現可能である内容”にしなければなりません。
補助金の支払いは後払い
補助金が支払われるのは、補助事業終了後です!
補助金は原則として後払いとなります。
基本的には以下1~5の流れで補助金が交付されます。
- 1.補助金申請
- 2.採択
- 3.補助事業実施(事業に必要な経費の支払い)
- 4.実績報告
- 5.補助金の交付
補助金交付の流れを見るとわかるように、補助金の採択後に補助事業を開始するにあたって、自己資金がない場合は、資金をどこからか調達する必要があります。
さらに事業再構築補助金は、最大1.5億円という高額の補助金です。
あたらしい事業のために高額の補助が受けられることが魅力ではありますが、その高額な金額を先に確保する必要があることが申請の壁となる事業者さんもいらっしゃいます。
「つなぎ融資」を使う?
「事業再構築補助金に申請したいけれど、数千万円という多額の金額を自分で先に払うのはむずかしい。」
という場合は、採択から補助金の受け取りまでの間、一時的に融資を受けるという方法があります。
これを「つなぎ融資」といいます。
事業再構築補助金の「つなぎ融資」はどこに相談する?
事業再構築補助金の事業計画書作成は、「認定支援機関」のアドバイスの元、策定する必要があります。
さらに、3,000万円以上の事業計画の場合は、認定支援機関にくわえ、「金融機関」も介入して事業計画書を策定します。(金融機関が認定支援機関の場合は、金融機関のみでOK)
相談先は?
●補助金申請の相談をした金融機関
つなぎ融資を受けたいと思っている場合は、事業計画書策定にかかわってくれた金融機関へ相談するとスムーズです。
●メインバンク
その他には、もともと取引のある「メインバンク」がある場合は、メインバンクにつなぎ融資を相談するのも1つの手です。「メインバンク」があり、融資が受けられるというのは、「資金繰り」の面で強い武器になり得ます。
認定支援機関とは?
認定支援機関は、中小企業や小規模事業者が経営相談をする相談先として、経済産業大臣が認定した機関です。
中小企業などの、経営に関するさまざまな悩みの相談や、その会社の経営に関するアドバイスや事業計画の作成のサポートなどを受けることができます。
事業再構築補助金は、POファイナンスも利用可能
補助金の融資を受ける手段として「POファイナンス」という融資制度を活用するという手もあります。
POファイナンスは、補助金交付決定額を電子記録債権化(抗弁付)し、これを金融機関に譲渡することで補助金が支払われるまでの間、金融機関からのつなぎ融資を受けやすくする仕組みです。
ものづくり補助金をはじめとする複数の補助金でこの融資制度POファイナンスの活用が可能となっていますが、事業再構築補助金でもPOファイナンスの利用が可能となっています。
(事業再構築補助金 よくある質問参照)
まとめ
高額な補助金である事業再構築補助金を申請する際に課題となってくるのが「資金繰り」。
「自己資金がない……」という場合、今回ご説明した「つなぎ融資」を活用するのも1つの手です!
自己資金がある場合も、融資を検討する場合でも、無理なく事業計画を実現できるかが重要となりますので、現在の財務内容なども見て、十分に検討する必要があります!