ものづくり補助金はどんな事業者が対象となるの?
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の対象者は、ざっくり言うと新しいものづくりを行う中小企業者や小規模事業者だよ。
ん?どういう意味?
この新しいものづくりというのは、生産性向上を目指して革新的なサービス開発や、試作品開発、生産プロセスの改善を行うことを言うんだ。
現在公募が行われているものづくり補助金には、一般型の通常枠、今回新設された一般型の低感染リスク型ビジネス枠、グローバル展開型に分かれているんだけど、それぞれに要件が定められているよ。
じゃあ今回は、ものづくり補助金はどんな事業者が対象となるのか、対象となる要件も詳しく説明していくよ!
1. ものづくり補助金の対象の事業者は?
ものづくり補助金の対象となる事業者は、日本国内に本社または補助事業の実施場所のある中小企業者、特定非営利活動法人に限られているよ。
中小企業者とは以下にあてはまる事業者のことを言うよ。
中小企業者【組合関連以外】
業種 | 資本金 | 従業員数 |
製造、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) | 5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車または航空機用タイヤ及びチューブ製造業 並びに工業用ベルト製造業を除く) | 3億円 | 900人 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
中小企業者【組合連合】
下記にある組合等に該当すること。
組織形態 |
企業組合 |
協業組合 |
事業協同組合、事業協同小組合、共同組合連合会 |
商工組合、商工組合連合会 |
商店街復興組合、商店街復興組合連合会 |
水産加工業協同組合、水産加工業協同組合連合会 |
生活衛生同業組合、生活衛生同業小組合、生活衛生同業組合連合会 |
酒造組合、酒造組合連合会、酒造組合中央会 |
内航海運組合、内航海運組合連合会 |
技術研究組合 (直接または間接の構成員の3分の2以上が中小企業者であるもの) |
2. 対象要件
ものづくり補助金の対象となる要件はあるの?
そうだね。ものづくり補助金には、細かく対象となる要件が定められているよ。
生産性向上を目指して革新的なサービス開発や、試作品開発、生産プロセスの改善を行い、かつ以下の要件を満たす事業者が申請の対象となるんだ。
ものづくり補助金の対象要件
①発注・納入・検収・支払等のすべての事業の手続きが事業実施期間内に完了する事業であること。
②以下の要件を全て満たす3~5年の事業計画を策定し、従業員に表明していること。
・事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加。
(被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加)
・事業計画期間において、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。
・事業計画期間において、事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加。
③応募申請時点で補助事業の実施場所(工場や店舗など)を有していること。
④以下に同意の上、事業計画を策定・実行すること。
・申請時点で申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明すること。
・財産処分や収益納付等も含め、補助金等の返還額の合計は補助金交付額を上限とする。
さらに、ものづくり補助金の対象となるには以下の要件に当てはまる必要があるよ。
その他、枠ごとの詳しい要件は以下だよ
一般型・低感染リスク型ビジネス枠
◎補助対象経費全般が以下のいずれかの要件に合致する投資であること。
・物理的な対人接触を減じることに資する革新的な製品・サービスの開発
(例:AI・IoT等の技術を活用した遠隔操作や自動制御等の機能を有する製品開発(部品開発を含む)、オンラインビジネスへの転換等)
・物理的な対人接触を減じる製品・システムを購入した生産プロセス・サービス提供方法の改善
(例:ロボットシステムの導入によるプロセス改善、複数の店舗や施設に遠隔でサービスを提供するオペレーションセンターの構築等)
・ウィズコロナ、ポストコロナに対応したビジネスモデルへの抜本的な転換に係わる設備・システム投資(キャッシュレス端末や自動精算機、空調設備、検温機器など、ビジネスモデルの転換に対して大きな寄与が見込まれない機器の購入は、原則として、補助対象経費とならない)
グローバル展開型
◎以下のいずれか一つの類型の各条件を満たすこと。
①類型:海外直接投資
・国内事業と海外事業の双方を一体的に強化し、グローバルな製品・サービスの開発・提供体制を構築することで、国内拠点の生産性を高めるための事業であること。
・具体的には、国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の2分の1以上が海外支店の補助対象経費となること、または海外子会社(半数以上の発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を補助事業者が所有している、国外に所在する会社)の事業活動に対する外注費(本補助金の補助対象経費の範囲に限る。一般管理費は含まない。事業実施に不可欠な開発・試作にかかる業務等を想定)もしくは貸与する機械装置・システム構築費(本補助金の補助対象経費の範囲に限る。)に充てられること。
・国内事業所においても、単価50万円(税抜き)以上の海外事業と一体的な機械装置等を取得(設備投資)すること。
・応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料、実績報告時に、海外子会社等との委託(貸与)契約書とその事業完了報告書を追加提出すること。
②類型:海外市場開拓
・国内に補助事業実施場所を有し、製品等の販売先の2分の1以上が海外顧客となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
・応募申請時に、具体的な想定顧客が分かる海外市場調査報告書、実績報告時に、想定顧客による試作品等の性能評価報告書を追加提出すること。
③類型:インバウンド市場開拓
・国内に補助事業実施場所を有し、サービス等の販売先の2分の1以上が訪日外国人となり、計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること。
・応募申請時に、具体的な想定顧客が分かるインバウンド市場調査報告書、実績報告時に、プロトタイプの仮説検証の報告書を追加提出すること。
④類型:海外事業者との共同事業
・国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等であり、その成果物の権利(の一部)が補助事業者に帰属すること(外国法人の経費は、補助対象外)
・応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)、実績報告時に、当該契約の進捗が分かる成果報告書を追加提出すること。
3.要件の対象を満たさない場合
反対に、以下のいずれかに該当する事業は、要件の対象外となってしまうから注意だよ。
①公募要領にそぐわない事業
②事業の主たる課題の解決そのものを他者へ外注または委託する事業(グローバル展開型において、海外子会社等へ外注する場合を除く)
③試作品などの製造・開発のすべてを他者に委託し、企画だけを行う事業
④事業の実施にあたり、実質的に労働を伴わない事業
⑤公序良俗に反する事業
⑥公的な賃金の使途として社会通念上、不適切であると判断される事業(風俗営業等の規制および業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第121号)第2条に規定する暴力団または暴力団員と関係がある場合など)
⑦「補助対象経費」の各区分等に設定されている上限を超える補助金を計上する事業
⑧ 重複案件
・同一法人・事業者が今回の公募で複数申請を行っている案件。50%超の議決権を有する子会社は同一法人とみなす。
・テーマや事業内容から判断し、(過去又は現在の)国(独立行政法人等を含む)が助成する制度(当該ものづくり・商業・サービス補助事業を含む、補助金、委託費等)と同一又は類似内容の事業(交付決定を受けていない同一事業者による過去の申請を除く)。
・中小企業生産性革命推進事業の他の補助金(小規模事業者持続化補助金等)と同一の補助対象を含む事業。
・他の中小企業・小規模事業者等から提出された事業と同一若しくは極めて類似した内容の案
件。
⑨ 申請時に虚偽の内容を提出した事業者
⑩ 平成25~29年度のものづくり・商業・サービス補助事業の採択事業者のうち、「事業化状況・知的財産権等報告書」を未提出の事業者
⑪ 応募申請時点において、資本金の減資や従業員数の削減を行い、事業実施期間終了後に、再度、資本金の増資や従業員数の増員を行うなど、専ら本事業の対象事業者となることのみを目的として、資本金、従業員数等を変更していると認められる事業者による事業
⑫ その他申請要件を満たさない事業
4.まとめ
今回のまとめだよ。
・ものづくり補助金の対象事業者は、新しいものづくりを行う中小企業者や小規模事業者。
・新しいものづくりとは、生産性向上を目指して改新的なサービス開発や、試作品開発、生産プロセスの改善を行うこと。
・類型や枠ごとに設けられた要件すべてに当てはまる必要がある。
新しいものづくりを行い、要件に当てはまる中小企業者や小規模事業者が、対象者となる。というわけだね。